再建築不可物件とは?購入のメリット・デメリットと有効活用方法

2021.8.102023.11.7
家づくりがwakaru
再建築不可物件とは?購入のメリット・デメリットと有効活用方法

物件購入を検討していて不動産情報を調べている時に、「再建築不可物件」と記載された物件を見たことがある方も多いのではないでしょうか。特に地域の相場よりも安い物件を探していると、再建築不可物件に当たる可能性が高くなります。

再建築不可物件は、単に不動産会社が決めている条件ではありません。不動産の法律と密接に関係しているため、購入する時は注意が必要です。今回は再建築不可物件の基本情報から、購入するメリット・デメリット、有効活用方法までを詳しく解説します。

※2025年に施行予定の建築基準法改正にともない、今後内容を変更する場合がございます。

カタログ請求

1.再建築不可物件とは?

再建築不可物件とは?

再建築不可物件とは、現在建てられている建物を解体して更地にしても、新たに建物を建てられない土地のことです。再建築不可物件は、都市計画法で定められている「都市計画区域」と「準都市計画区域」にのみ存在します。

都市計画区域と準都市計画区域で建物を建てる場合、建築基準法で定められた接道義務を満たさなければなりません。接道義務とは、幅員4m以上である建築基準法上の道路に、建物の敷地が2m以上接していることです。

接道義務を満たしていないと新たに建物が建てられないため、該当する敷地は「再建築不可物件」となります。下記のようなケースが、再建築不可物件の例です。

  • ●建物の敷地が建築基準法上の道路と全く接していない
  • ●建物の敷地が建築基準法上の道路と接しているが、接している幅が2m未満である
  • ●建物の敷地が幅員4m未満の道路や、私道とのみ接している

再建築不可物件が存在する理由には、該当する敷地・建物が誕生した時代と、不動産の法律が誕生した時代のズレが関係しています。建築基準法は1950年(昭和25年)に制定された法律であり、さらに都市計画法は1968年(昭和43年)に制定されました。そのため、1950年以前に区分された敷地や建てられた建物では、接道義務を満たしていないケースが多く存在します。

実際に、全国における再建築不可物件の物件数は、全体の約6.7%です。約15件に1件は再建築不可物件であると言えます。

【全国】再建築不可物件と見られる物件数
総物件数(空き家含む) 6240万7,400戸
幅員2m未満の道路に接している物件数 292万3,600戸
敷地が道路に接していない物件数 129万5,500戸

(出典:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査調査の結果」)

2.再建築不可物件を購入するメリット2選&デメリット3選

再建築不可物件を購入するメリット2選&デメリット3選

再建築不可物件は建物を新しく建て直すことができず、建てられている建物も建築基準法の制定以前に建築されています。そのため、再建築不可物件の購入は、基本的にメリットよりもデメリットの方が多いことが特徴です。

ここからは、再建築不可物件を購入するメリットとデメリットを紹介します。

2-1.メリット(1)安価に購入できる

再建築不可物件を購入する最大のメリットが、安価に購入できることです。再建築不可物件にはさまざまなデメリットがあるため、近隣地域の同等な物件よりも地価や物件の資産価値が安く設定されています。

再建築不可物件の価格相場は、物件が売却に出されるタイミングによって振れ幅が変わるものの、近隣地域の同等な物件と比較して約1割~5割が相場とされています。

中古住宅をリフォームやリノベーションをして住みたい方にとっては、取得費用を安く抑えてリフォーム等に費用をかけられる点もメリットです。

2-2.メリット(2)固定資産税額が低く設定される

再建築不可物件は固定資産税評価額が低く、固定資産税額も低く設定されています。固定資産税評価額とは、固定資産税の税額計算に使用する基準税額です。固定資産税額は下記の計算式で決まるため、固定資産税評価額が低い再建築不可物件は税額を抑えられます。

固定資産税額=固定資産税評価額×1.4%(標準税率)

固定資産税評価額は、都市計画税や物件の贈与税・相続税を計算する時の基準税額としても使用します。そのため、再建築不可物件を購入した場合は、一般的な物件と比較して物件の維持や贈与・相続にかかる税額を安く抑えることが可能です。

2-3.デメリット(1)物件を建て替えることができない

再建築不可物件は建築基準法の接道義務を満たしていないため、物件の建て替えや増築・改築は行えません。物件を安価に購入できても、解体して自分の意図した住宅を建てられない点がデメリットです。

再建築不可物件の築年数は数十年経っていることが多く、建物部分をそのまま使用すると細かな修繕に費用がかかってしまいます。火事や地震が発生して建物部分が全壊した場合にも、再建築不可物件は再建築ができないため注意してください。

2-4.デメリット(2)銀行系の住宅ローンを借りられない

再建築不可物件は資産価値が低く、担保としての価値も低いことが特徴です。そのため、物件そのものを担保として取得費用を借入する住宅ローンは、再建築不可物件を購入する時に利用できません。

つまり、再建築不可物件はローンによる分割払いではなく、現金一括払いで購入する必要があります。再建築不可物件は一般的な物件と比べて価格が安いものの、気軽に払える金額であるとまでは言えません。現金一括払いによる負担が大きい点は、再建築不可物件のデメリットです。

2-5.デメリット(3)買い手が見つかりにくい

物件の取得後に売却したくなった時、買い手が見つかりにくい点も再建築不可物件のデメリットです。再建築不可物件には「建て替えできない」制限があるため、価格を安く設定しても、建物部分を新しく建てたい買い手を集めることはできません。

再建築不可物件の購入時に住宅ローンが借りられないことも、売却時のデメリットに繋がる点です。既存の建物部分に満足していて、かつ現金一括払いで購入できる方に買い手が限定されるため、売却したい時に買い手が見つかりにくくなります。

3.再建築不可物件を有効に活用する3つの方法

再建築不可物件は確かにデメリットが多いものの、物件の取得費用が安い、固定資産税額などを抑えられる点は大きなメリットです。費用面や立地面で魅力的な再建築不可物件がある場合は、有効活用できないかを考えてみましょう。

ここからは、再建築不可物件を有効に活用できる3つの方法を紹介します。

3-1.更地にして駐輪場にする

再建築不可物件は敷地周辺に十分な幅のある道路がないため、更地にしても駐車場をつくることができません。

しかし、自転車や原付バイクなどを停める駐輪場をつくることはできます。近隣に駅や大型商業施設、マンション等の集合住宅が建っている環境であれば、高い収益性を見込める可能性があります。

3-2.リフォームやリノベーションをして住む

再建築不可物件は建物部分の新築や増築・改築はできないものの、一部の物件はリフォームやリノベーションが行えます。リフォーム等が行える条件は、下記に示す「4号建築物」に該当する物件である場合です。

  • ●「2階建て以下」「延床面積500平方m以下」「高さ13m以下」「軒の高さ9m以下」を全て満たす「木造建築物」
  • ●「平屋建て」「延床面積200平方m以下」を全て満たす「非木造建築物」

再建築不可物件は4号建築物に該当するケースが多いため、リフォームやリノベーションをして住むことができます。

3-3.再建築可能にして建て替える

どうしても再建築不可物件を建て替えたい場合は、該当の物件に隣接していて接道義務を満たす物件が販売されていないかを調べてみましょう。

再建築不可物件と接道義務を満たす物件を一つの土地にすれば、接道義務を満たせるため、再建築可能な物件として建て替えることが可能です。

4.再建築不可物件を購入する際のポイント

再建築不可物件を購入する際のポイント

再建築不可物件を購入する際は、該当の物件に活用できる用途があるかを調べることが大切です。管轄の市町村役所へ行き、該当の物件が再建築不可である理由と、再建築が可能になる条件等を尋ねましょう。

役所で特定の物件を詳しく調べるためには、下記の書類を持参する必要があります。

  • ●登記事項証明書
  • ●公図
  • ●建物図面
  • ●地積測量図

上記の書類は、エリアを管轄する法務局で取得できます。ただし、各書類は取得するために手数料がかかり、すぐに取得できるとは限りません。書類請求時の手続きや、役所で調査する際の手続きも煩雑であるため、再建築不可物件の調査は建設業者に依頼することもおすすめです。

まとめ

再建築不可物件とは、建築基準法の接道義務を満たしておらず、建物を建て替えることができない土地のことです。再建築不可物件は取得費用が安い等のメリットがあるものの、建て替えができない、住宅ローンを借りられない等のデメリットもあります。

再建築不可物件は、購入後に全く手を加えられないわけではありません。リフォームやリノベーションをしたり、接道義務を満たす隣地も購入して再建築可能にしたりといった活用方法があります。

再建築不可物件は東京近郊にも存在します。千葉・東京・埼玉県周辺で「再建築不可物件の調べ方」や「再建築不可物件の活用方法」にお悩みの方は、広島建設株式会社にぜひご相談ください。