セットバックとは?幅の条件や要セットバック物件購入時の注意点

2021.12.102023.9.12
家づくりがwakaru
セットバックとは?幅の条件や要セットバック物件購入時の注意点

マイホームを建てるための土地を探しているときに「要セットバック物件」を見つけて、気になる人もいるでしょう。要セットバック物件に関する注意点を把握することなく購入を決意することは、後悔を招く原因です。

そこで今回は、セットバックの意味と要セットバック物件を購入するときの注意点を解説します。要セットバック物件の購入に向いている人の特徴も紹介するため、自分に合う土地を探して賢くマイホームを建てたい人は、ぜひ参考にしてください。

カタログ請求

1.セットバックとは?

セットバックとは?

セットバックとは、土地の境界線から一定の間隔を確保し、建物を建てることを意味します。セットバックは前面道路の幅員を広げて、接道義務を果たすために行われることが一般的です。接道義務とは建築基準法第43条に記載されている、「建物の土地は、道路に2メートル以上接しなければならない」といったルールのことを指します。

また、接する道路に対しても、明確な基準が存在する点には注意しましょう。建築基準法においては幅員4メートル以上のもののみが、正式な「道路」です。ただし、建築基準法第42条第2項では以下の条件を満たすものを「2項道路(みなし道路)」と呼んでおり、例外的な「道路」とみなします。

  1. 幅員4メートル未満である
  2. 建築基準法施行以前から、道路に面する建物が存在する
  3. 特定行政庁の指定を受けている

2項道路(みなし道路)に面した土地に建物を新築する場合は原則的なルールに則り、道路の幅員4メートル以上を確保するため、土地の一部を提供しなければなりません。土地の一部を提供することを「セットバック」もしくは「私道負担」と呼びます。

道路の幅員が極端に狭ければ、火事が起きた際に緊急車両が入れません。住民一人ひとりがセットバックに協力して十分な幅員の道路を確保することは、地域の価値を高めるための不可欠要素と言えるでしょう。

(出典:e-Gov法令検索「昭和二十五年法律第二百一号 建築基準法」)

2.【ケース別】セットバックの条件・例

セットバックで提供する土地の幅は、道路を挟む向かい側に位置する土地の状態によって異なります。道路を挟む向かい側に建物がある場合は平等に土地を提供し、幅員4メートルの条件を満たせば良いためです。向かい側に川・崖が存在する場合は単独で幅員4メートルの条件を満たさなければならないことから、より多くの土地を提供する必要があります。

●道路を挟む向かい側に建物がある場合

土地に面する道路の中心線から水平線で2メートルの位置まで、セットバックが必要です。たとえば、土地の境界線が道路の中心線から水平線で1.5メートルの場所に位置する場合、0.5メートルのセットバックを行います。

●道路を挟む向かい側に川・崖がある場合

川・崖と道路の境界線から水平線で4メートルの位置まで、自分自身の土地のセットバックを行います。たとえば、幅員3メートルの道路に面している場合、自分自身の土地の境界線から1メートルのセットバックが必要です。

なお、道路を挟む向かい側の建物がすでにセットバックを行っている場合など、道路の中心線の位置が実情と異なるケースも存在します。要セットバック物件の購入後の後悔を防ぐためには、道路の中心線の位置を事前に確認してください。

3.要セットバック物件を購入するときの注意点

要セットバック物件を購入するときの注意点

建物を新築したり既存の建物を建て替えしたりする際にセットバックが必要な土地は、「要セットバック物件」と呼ばれます。

要セットバック物件を購入する際の注意点は、大きく分けて4点です。以下の内容を正しく把握した上で、セットバック物件を購入するかどうかを判断しましょう。

3-1.セットバック部分は敷地面積から除外される

セットバック部分の土地は、建ぺい率・容積率を計算する際の敷地面積から除外されます。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建坪)の比率を示す値です。容積率とは、敷地面積に対する延床面積の比率を示します。

建ぺい率・容積率の上限はいずれも、都市計画によって指定される値です。そのため、要セットバック物件では条件無しの土地と比較し、建築面積・延床面積の狭い住宅しか建てられません。

既存の建物がセットバック部分の土地を含めた敷地面積で建てられている場合、建て替え後の建物は、既存の建物と比較して狭いサイズになることが通常です。既存の建物のサイズを基準に、建て替え後の建物のサイズをイメージすることは避けてください。

3-2.セットバック部分は私的利用ができない

セットバック部分の土地は道路として扱われるため、私的利用が不可能です。セットバック部分の土地に門や塀を設置したり駐車場として活用したりすることは、建築基準法違反であるため、注意しましょう。

要セットバック物件に門・堀・駐車場などを設置する場合は、セットバック後の敷地面積を前提として、設計を行います。セットバック物件の境界線に花壇を設置する場合も同様に、セットバック後の土地の形状を前提とした設計が必要です。

まとめ

セットバックとは土地の境界線と建物の間に、一定の間隔を空けることを意味します。要セットバック物件を購入する際には、セットバック部分の土地の私的利用は不可能であるケースが存在することなどに注意しましょう。