旗竿地とは?メリット&デメリットから購入時のチェックポイントまで

2022.5.302023.12.26
家づくりがwakaru
旗竿地とは?メリット&デメリットから購入時のチェックポイントまで

「旗竿地(はたざおち)」はその名の通り旗竿のような形状の土地であり、「路地状敷地」や「敷地延長」などと呼ばれることもあります。旗竿地の住みやすさについてはさまざまな意見があるものの、スタンダードな形状の土地にはない旗竿地ならではのメリットも少なくありません。

当記事では、旗竿地を購入するメリット・デメリットおよび購入にあたってチェックしたいポイントについて解説します。これらの要素を頭に入れつつ土地の様子を実際に確認することで、快適な住まいづくりを実現しやすくなるでしょう。

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1.旗竿地とは?

旗竿地とは?

細長い路地のような土地と広い土地が合わさった旗竿地は、文字通り旗竿のような形をしています。竿の先端にあたる間口部分のみが道路に接していることが旗竿地の特徴であり、広い敷地が道路に接している場合は旗竿地とみなされません。

旗竿地の多くは、単純な形の整形地が分割されてできたものです。例えば相続や売買などで土地を分割する際、土地を細長くしすぎて不便にならないようあえて旗竿状に分割することがあります。また、道路から離れた土地の接道義務を果たすために旗竿地を作ることもしばしばです。

2.旗竿地のメリット3選&デメリット2選

旗竿地のメリット3選&デメリット2選

旗竿地は不規則な形状をしているため、「使いにくい」「売れない」などと言われることも少なくありません。

しかし、旗竿地ならではのメリットをうまく活用すれば快適な住環境を作ることができます。旗竿地を購入または利用したい場合は、まず旗竿地のメリットとデメリットをしっかり理解することが大切です。

2-1.メリット(1)土地価格が安い

旗竿地の土地価格は、総面積や立地などの条件が似ている整形地の7~8割程度となることが一般的です。そのため、地価が高く人気のエリアでも旗竿地であれば比較的購入しやすいでしょう。また、予算が限られているものの住宅設備や庭づくりなどにこだわりたい場合に旗竿地を選ぶこともひとつの方法です。

旗竿地は、整形地と比べて固定資産税や相続税などの評価額も低めとなります。旗竿地を選ぶことで土地の購入費はもちろん維持費の節約にも役立つため、土地を長く所有し続けたい場合にもおすすめです。

2-2.メリット(2)静かな環境で暮らせる

旗竿地の旗部分に住宅を建てることで、道路からの騒音や通行人の目線が届きにくくなります。そのため、プライバシーの保たれた静かな環境での生活を実現しやすくなるでしょう。間口部分や土地の境界部分などの防犯対策をしっかり行えば、セキュリティ面でも安心です。

また、子どもやペットのために安全な遊び場を設けたい場合にも旗竿地が適しています。旗竿地は間口の接道部分が少なく、庭で遊んでいるときなどに誤って道路へ飛び出すリスクが低いためです。

2-3.メリット(3)路地部分を活かしてプランニングできる

整形地に住宅と駐車スペースを設ける場合、駐車スペースを確保するため住宅を不規則な形状にせざるを得ないケースが多々あります。一方、旗竿地では路地部分を駐車スペースにして奥の旗部分に大きな家を建てることが可能です。家族の好みやライフスタイルによっては、路地部分におしゃれなアプローチや家庭菜園などを設けてもよいでしょう。

また、旗竿地では建ぺい率や容積率の上限を決める際に路地部分の面積を考慮できます。そのため、土地の条件次第では旗部分の敷地面積に対して大きめの住宅や階数の多い住宅を建てられることも少なくありません。

2-4.デメリット(1)日当たり・風通しの確保に工夫が必要となる

旗竿地は住宅密集地の一角にあることが多く、周囲の整形地と比べて日当たりや風通しが悪くなります。これらのデメリットをカバーしたい場合は、天井をなるべく高くして大きな開口部や吹き抜け・高窓などを設けるとよいでしょう。また、リビングやテラスなどを2階以上に設けることもよい方法です。

住宅そのものの構造を工夫するほかに、庭を広めに確保する方法もあります。庭を広くすることで部屋の奥まで日光が届きやすくなり、風通しも確保しやすくなるためです。

2-5.デメリット(2)建築コスト・インフラ整備コストがかかりやすい

旗竿地の間口部分や路地部分が狭いと、工事車両の乗り入れや大型什器の搬出入などが難しくなります。その結果、建築コストが余分にかかったり工期が長くなったりすることも少なくありません。また、旗竿地に新しく水道・電気・ガスなどのインフラ設備を通す場合も注意が必要です。旗竿地ではこれらのインフラの引き込み距離が長くなることが多く、インフラ整備工事にコストや時間がかかりやすくなります。

豪雪地帯にある旗竿地では、路地部分の積雪や凍結によって道路へ出にくくなることも少なくありません。これらのトラブルを防ぐためには、敷地内に融雪装置などを設けるか自力でこまめに除雪する必要があります。

3.旗竿地を購入するときのチェックポイント

旗竿地を購入するときのチェックポイント

旗竿地には多くの注意点もあるものの、ポイントさえ押さえればすばらしい立地となり得ます。「旗竿地特有のデメリットをカバーするためにはお金がかかる」と思われがちですが、実際に多額のコストを要するケースはさほど多くありません。

旗竿地のメリットを最大限に活かすべく、次のポイントを事前にチェックしておくことをおすすめします。

3-1.路地部分の幅は十分にあるか

建築基準法では、建物を建てるための土地は道路に2m以上接しなければならないと定められています。旗竿地の場合は路地全体にも2m以上の幅が必要なため、接道部分が2m以上でも路地の全体または一部の幅が狭いと建築基準法を満たせません。また、建築基準法を満たしていても自治体や地域の条例に反してしまうケースもあります。

古い旗竿地などの場合、再建築不可物件と呼ばれる接道義務を満たしていないにもかかわらず建物が建っていることもあります。こうした住宅に住むこと自体は違法ではないものの、基本的には一度解体してしまうと再び建物を建てることができません。加えて、路地が狭いと緊急車両が乗り入れにくくなり万が一の際に助けを得にくくなるリスクもあります。中古住宅が建っている旗竿地を購入したい場合は、これらのポイントにも注意しましょう。

再建築不可については、別の記事で詳しく解説しています。
気になる方は「再建築不可物件とは?購入のメリット・デメリットと有効活用方法」もあわせてご覧ください。

3-2.工事車両は問題なく入れるか

接道義務を満たしていても、大型の工事車両が入れなければ工事を行いにくくなります。大きな重機を使えない場合は小型の重機や人力での作業が必要となり、工期の延長やコストアップを余儀なくされることがときどき起こります。さらに、狭い路地を通る際に隣家の塀を傷つけるなどしてトラブルになるリスクも上がります。

旗竿地において工事費を抑えたい場合は、旗竿地での施工経験が多い業者や特殊な重機の取り扱いに強い業者などがおすすめです。工事期間中は近隣に工事車両が停まったり騒音や振動などが発生したりすることも多いため、事前に施主自ら近隣住民へ挨拶しておくことでトラブル予防に役立つでしょう。

3-3.電線・水道管などのインフラは整備されているか

土地そのものの価格が安くても、各種インフラを自力で整備しなければならない場合はかえって出費がかさんでしまうこともあり得ます。また、築年数の古い住宅を購入した場合は老朽化した水道管の交換工事などが必要です。

また、接道にある電柱から電気を住宅まで通すのに中継ポールが必要だったり、排水勾配がとれていない場所ではポンプアップが必要な場合があります。

インフラがきちんと整備された旗竿地であれば、買主自身がインフラ整備工事を手配する必要はありません。旗竿地を購入する場合は各種インフラがきちんと揃っているか、そして老朽化していないかを忘れずに確認しましょう。

まとめ

旗竿地は、道路に接した細い土地の奥に広い敷地を持つ土地です。特殊な形状ゆえに地価の安さや静かな住環境などのメリットがあり、路地部分を活かしてさまざまなプランニングが可能となります。建築コストがかさみやすく日当たり・風通しの確保がやや難しいものの、設計を工夫することでデメリットを補い快適な住まいを実現できるでしょう。

千葉のハウスメーカー・広島建設は、注文住宅建築や分譲住宅販売などを多数手がけています。旗竿地を含むさまざまな土地・住宅の購入やリフォームをご検討の際は、お気軽にご相談ください。