在来工法とは?ツーバイフォー工法との違いやメリット・デメリット
- 2022.4.202023.12.26
- 家づくりがwakaru
戸建て住宅を建てるとき、木造住宅にするか、鉄筋コンクリートにするかで悩む人は多いでしょう。現在、日本の戸建て住宅の多くは木造住宅であり、コンクリート製よりも低い建築費用と木の持つ独特の温かみや風合いで人気があります。
使用する建材や工法によって、その後の住み心地や将来リノベーションを行う際の自由度が異なるため、それぞれの特徴をしっかりと理解した上で選択することが大切です。
そこで今回は、木造住宅の工法として主流となっている在来工法の概要とツーバイフォー工法との違い、メリット・デメリットについて解説します。
1.在来工法(木造軸組工法)とは?
在来工法は、古来より日本で受け継がれてきた木造建築技術を、時代の変化とともに改良しながら発展させてきた建築方法です。「木造軸組工法」とも呼ばれ、日本の一般的な木造住宅のうち半数以上が、この在来工法によって建てられています。
出典:林野庁「第1部 第4章 第3節 木材利用の動向(2)」
在来工法では、初めにコンクリートで作られた基礎の上へ、柱と梁で建物の骨組みを作ります。次に屋根を張ってから壁や窓、扉などを取り付けるため、施工中に天候が悪化しても建物内部や建築資材が濡れにくいことが特徴です。
建築基準が厳格化し高い耐久性が求められる近年では、木材を斜めに渡す筋違いなどの工法や構造用合板などの素材を取り入れることで、耐震性や耐風性を高めています。
1-1.在来工法とツーバイフォー工法の違い
木造住宅の工法で在来工法と比較されることの多い建築方法が、ツーバイフォー(2×4)工法です。
ツーバイフォー工法は、2インチ×4インチの規格材と面材を組み合わせて作った板同士を接合して家を作ります。1階の床から壁、天井、2階の床から壁と、下から上へ木箱のように面を組み上げ、壁や天井全体で柱や梁の役割を果たすことで、高い耐震性を実現する工法です。
ツーバイフォー工法は構造がシンプルで規格が統一されているため、在来工法のように専門的な技術を高めずとも短期間で建築が可能で、品質が安定しやすい傾向にあります。ただし、取り扱っている施工業者が少なく、間取りや外観デザインの自由度が低い・大規模なリノベーションに向かないといった欠点もある工法です。
2.在来工法で家を建てるメリット5選
在来工法は、日本で長年にわたり技術が継承され続け、今も多くの住宅の建築方法として採用されています。いくつもの建築方法が存在する現代でなお選ばれ続ける理由は、在来工法に多くのメリットがあるからにほかなりません。
ここでは、在来工法で家を建てるメリットを5つ解説します。
2-1.日本の気候に最も適した工法である
在来工法は、季節による温度変化や湿度の増減が激しい、日本特有の気候・風土に最適な工法です。
在来工法で主に使用する木材は断熱性に優れる上、木から伐採されたのちも呼吸を続けることで屋内の湿度を調整し、人にとって住みやすい快適な空間を維持してくれます。非常に硬く丈夫なイメージのあるコンクリートや鉄と比較しても、曲げや圧縮、引っ張りに対して優れた強度を持つ素材です。古い神社や寺院の多くは木造であり、数百年の時を経てなお頑強さを保っていることがその証となっています。
このような特徴から、在来工法は、木材の持つ特徴を最大限に生かす建築方法であり、高い耐震性・耐湿性・耐久性を誇る住宅工法と言えるでしょう。
2-2.間取りの自由度が高い
在来工法は、柱と梁を中心に組み立てられる構造のため、壁部分の形状や素材は比較的自由が効きます。建物を支える柱と梁の強度さえ十分あれば、壁のほとんどがなくても成立する工法です。例えば、ふすまのみで仕切られた大広間などを想像すれば分かりやすいでしょう。
一方で、2×4工法や2×6工法は1階と2階で同じ位置に壁がなければ、構造的に成り立ちません。合理的な間取りが作りやすい反面自由度は低いため、注文住宅よりも建売住宅に向いた工法です。
合理性よりも、独自性のあるデザインやライフスタイルに合わせた住みやすさを優先したい人には、在来工法のほうが向いています。
2-3.リノベーションにも柔軟に対応できる
柱と梁が頑丈であれば比較的間取りの自由が利く在来工法は、リノベーションに対する柔軟性も抜群です。例えば、同居する家族が増えた際に2部屋を3部屋へ増やしたり、反対に子どもが独立した際に、部屋の壁を取り去って2部屋を1部屋にしたりすることもできます。
また、「あえて天井を取り去って梁を見せることで広々とした大空間を演出したい」といった大規模な変更や、建物の増築・減築も容易です。建物の基礎はそのままに、家族構成やライフスタイル、趣味の変化に伴って建築時とまったく違った間取りへ変更しやすいことは、在来工法の強みと言えるでしょう。
2-4.大きな窓を設けられる
柱と梁で建物を支える在来工法では、壁の強度が弱い・壁がないデザインでも十分な耐久性・耐震性を備えられることで、住宅の開口部を広く取ることが可能です。壁や屋根の全面をほぼ窓だけの設計にすることもできるため、展望がよくなったり昼間は照明を使わずに済ませられたりします。
近年人気が高まりつつある、縁側やウッドデッキなどとつながったリビング作りは、在来工法の強みを生かして開放的な空間を実現する間取りです。また、周囲の目が気になる都市部などでは、中庭を設置して四方の壁すべてに窓を設置することで、プライバシーを守りつつ明るさや通気性も確保できます。
2-5.対応する施工業者が多い
在来工法は対応する施工業者が多く、複数の業者を比較対照しやすいこともメリットとして挙げられます。在来工法は日本で古くから建築に使用されてきた伝統的な工法であり、今なお建築現場では主流の工法です。
対応する施工業者が多いため競争も激しく、施工業者のほとんどは技術の研鑽を怠りません。そのため、優秀・優良かつ信頼できて相性のよい施工業者を探しやすい傾向です。また、建材の種類やストックも豊富で選択肢が広いことも、在来工法のメリットと言えるでしょう。
3.在来工法で家を建てるデメリット2選
在来工法は、住宅の建築方法として多くのメリットがあるものの、デメリットの存在も無視できません。住宅を建てる際は、メリットだけでなくデメリットにも目を向けた上で、理想の家を実現できる工法を選択することが大切です。
ここでは、在来工法で家を建てる場合のデメリットを、2つ解説します。
3-1.工期が比較的長い
在来工法は、基本の形状・構造が定まっているツーバイフォーとは異なり、一からの設計・施工となる工法です。間取りやデザインの自由度が高い反面、決めなければならないことも多く、施主の希望と建築技術・法律をすり合わせつつ設計図の完成にいたるまで多くの時間を要します。
家へのこだわりをすべて取り入れるとなると、規格住宅と比較して依頼から竣工までの工期が長くなる傾向です。とはいえ、近年は建築機材の導入や資材加工技術の向上により、設計方法によっては工期を短縮することも可能となりました。そのような場合は、建築費用も安く仕上げられるケースがあります。
3-2.施工業者によって品質の差が生じやすい
在来工法は、間取りやデザインの自由度が高く施主のこだわりを詰め込める反面、設計図や建築工程、使用する資材の形状などが複雑になる傾向です。そのため、設計図の完成度はもとより、実際に現場で施工する大工の経験や技術力によって仕上がりに差が生じることがあります。
また、設計図と寸分の狂いもない家を建てるためには、設計者が施主の希望を的確に汲み取るだけでなく、業者内での情報伝達もスムーズに行われなくてはなりません。理想通りの家を手に入れるためには、技術力の高さに加えて、コミュニケーション能力があり信頼できる施工業者を見極めることが大切です。
まとめ
在来工法は、昔ながらの木造建築技術に改良を重ね、時代に合わせて発展させてきた建築方法です。日本の気候風土と相性がよく、理想の間取りを実現しやすい・将来的なリノベーションの自由度も高いことで人気があります。
反面、建築工程の複雑化によって工期が伸びたり、施工業者によって品質に差が出たりするため、依頼先は吟味しなければなりません。千葉県近郊で素材と間取りにこだわった理想のマイホームを建てたい人は、ぜひ「広島建設」のセナリオハウスをご検討ください。
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